デジタルとアナログツールの使い分けで、仕事の幅が広がった
― ヤッホーブルーイングのファン作りを支える木村壮さんのノートとの向き合い方(前編)
近年日本国内でも人気が高まり続けているクラフトビール業界のトップメーカーとして、独自のファンマーケティングや社風などで注目を集めているのが、「よなよなエール」でお馴染みのヤッホーブルーイング。書く/描くひとのストーリーに迫るインタビュー第3弾となる今回は、同社を情報システムの領域で支える、キム2(※1) こと木村壮さんです。全2編からなるインタビューの前編では、現在の仕事におけるデジタルとアナログツールの行き来についてお話しを伺いました。
(※1)スタッフ全員がニックネームで呼び合うという文化も、ヤッホーブルーイングの特徴の一つ
入社直後に自ら新ユニットを立ち上げ、情報システムを担当する傍ら、並行してマーケティング系のユニットと一緒にITを活用したマーケティング施策の推進も兼務。ヤッホーブルーイングならではの前のめりな社風を生かして活躍する木村さん。
木村さんは社内ではどんな業務を担当されているのでしょうか?
私自身は情報システムユニットという部署に所属し、主に社内の業務効率化やセキュリティの改善を行っています。またヤッホーブルーイングでは、お客様に弊社の製品をより好きになってもらうためにファンイベントを筆頭に様々な施策を行っており、こういった施策をより効果的なものにしていくために、現場のユニットと一緒にテクノロジーを活用したマーケティング施策の企画・推進も担当しています。
㈱ヤッホーブルーイング システム管制塔(情報システムユニット)ユニットディレクター・木村壮さん。同社の社内コミュニケーションの仕組み作りやシステム構築業務を担当。
かなり幅広いですね。これまでも企画に関するお仕事をされていたのですか?
もともと課題や目的に応じて企画・改善策を考えることが好きだったのはありますが、ここまで本格的に取り組み始めたのは、ヤッホーブルーイングに入社してからですね。前職でも情報システムを担当していましたが、今と違って社内の業務が滞りなく進むよう、環境を整えるいわば“守り”の部分を担っていました。ヤッホーブルーイングでは社員数も少ないため、自分で見つけた課題に対して自発的に解決していくことを良しとする社風があります。企画を積極的に行うようになったのは、そうした環境の変化が影響しているかもしれません。実は情報システムユニットという今の部署も、私が入社した当初はなかったんです。この会社に必要なものは何か?と考え、自ら提案して新たなユニットの立ち上げに至りました。
打合せや会議ではその場で書いたメモを見合うことで、理解や認識のズレが起きないような工夫も。
インプットは手書きで、アウトプットはデジタルで。ツールの適切な使い分けで、仕事を効率化。
幾つかのプロジェクトを並行して取り組む上で、プロジェクトやスケジュールの管理はどのようにしているのですか?
業務の管理にはアナログツールとデジタルツールを併用していて、それぞれの役割を明確に分けていますね。インプットや思考する過程ではアナログのモノを使い、それをアウトプットとして資料や提案書に落とし込む時にはデジタルツールを使用しています。
使い分ける際のポイントはありますか?
企画や戦略を検討して実行に移していくためには、社内外に向けて資料を作る必要があります。その際、思考の過程を可視化してクリアにするために必ず、手書きのノートやメモにアイデアを記録するようにしています。以前は効率を求め、初めからPowerPointを使って制作していたのですが、考えがまとまらないまま作り出してもかえって時間がかかってしまう非効率な部分に気づいたからです。例えば図やイメージを作成するのにもデジタルツールだと時間がかかりますが、手書きであれば、直感的に短時間で書くことができます。
資料化前に図やイメージを手描きでつくることで、より効率的に進めることが可能に。
考えをまとめる過程では、手書きのノートの方が効率的ということですね。
そうですね。自分の思考フローに手書きのノートというのがマッチしているのだと思います。他にも、日々メモに書き残している言葉同士をランダムに繋げて企画のタネにする思考法も取り入れていますが、こうしたやり方はPCにはなかなか出来ませんから。
タスクのグルーピングや優先順位付けが瞬時にビジュアライズできるのも、手書きのノートならではの良さ。
複数のユニットやプロジェクトでの仕事を並行して行うにあたり、効率性や正確性を高めるためにデジタルとアナログなツールを上手く使い分けながら進めていくという木村さん。後編では、さらにアナログな「書く」部分にフォーカスを絞り、これまでの経験から確立したスタイルやこだわりについてお聞きします。
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