「手書きの習慣で、日常からの跳躍を」
ー大人の女性のための定番ステーショナリー『grand jeté(グランジュテ)』が生まれるまで(前編)
ふとした発見をノートに書きとめたり、誰かへの思いを便箋にしたためたり。手書きの習慣は、日々をより豊かで創造的なものにしてくれます。
「grand jeté(グランジュテ)」はそうした思いから生まれた、大人の女性のためのステーショナリーブランド。そんなグランジュテが生まれたストーリーと、そこに隠されたこだわり、そして日々の活用法について、ブランドの企画・開発を担当したマルマンの福嶋さんにお話を伺います。
手書きの習慣が、日々に跳躍を与える
シンプルで辛口なデザイン。書き心地のよさと、手馴染みのいい上質な素材。大人の女性に向けたステーショナリーブランド「グランジュテ」は、書くことの喜びを考え、細部までデザインや使いやすさにこだわって生まれました。
サイズ違いの3種類のノートに便箋と封筒。さらに、ポーチにペンケース、ミニウォレットという3種の収納小物をラインアップ
「ブランド名の『グランジュテ』とは、“大きな跳躍”という意味のバレエ用語。書くことによって、使う人の成長や飛躍につながるように、というメッセージが込められています。製品に見られる箔押しの四角いモチーフは、日常から新しい世界へと開く窓をイメージしました」。そう語るのは、グランジュテの企画・開発を担当した福嶋さん。
グランジュテの立ち上げを担当した福嶋さん。マルマンのマーケティング部に所属し、企画・開発を行っています
「グランジュテが目指すのは、大人の女性がビジネスでもプライベートでも使える、スタンダードで上質なステーショナリー。カラーはシーンを選ばないブラック、ゴールド、シルバーを基調にしました。デイリーに使っていただくことで、書くことの積み重ねが生まれる。それを、日々の発見や気づきにつなげてほしい。そんな思いが込められたシリーズです」
シーンごとに使い分ける3種類のノート
グランジュテの中で、最初に企画が生まれたのが3種類のノート。それぞれサイズも違えば、紙の綴じ方や、表紙の素材も違います。そうした細やかなこだわりは、アートディレクターとして迎えた久能真理さんの知見をもとに、ひとつひとつ丁寧に選択されていきました。
シーン別にサイズや製本の違う3種類のノート(大きな方からB5、A5、A6の3サイズ)
様々な筆記用具と相性が良く、書き心地のなめらかさに定評のマルマンのオリジナル筆記用紙(MPS-N 80g/㎥)を採用している
「商品企画の為にアンケートを実施したところ、用途に応じて複数のノートを使い分けている方が多いという結果が出ました。なのでグランジュテでは、シーンごとの使い分けを想定してサイズと仕様の異なる3種類のノートを提案しています」
ツインワイヤ綴じノート(A5サイズ/横罫8mm×60枚+無地カラーペーパー×20枚/1,300円+税)
表紙は、表、芯、裏で3枚の紙を貼り合わせ、上質感のあるたたずまいに
「まずA5サイズのリングノートは、ビジネスシーンで定番の1冊。製本はマルマンが得意とするリング製本で、1枚ずつ千切るなどフレキシブルに使っていただけます。表紙は、一見1枚の紙に見えますが、実は3枚の紙を貼り合わせているため、耐久性があります。シルバーとゴールドの表紙はビニールクロスですし、汚れにも強く丈夫です。特に、立って書くシーンのある方には、その堅牢さを感じていただけると思います」
ミシン綴じノート(B5サイズ/無地×40枚/800円+税)表紙は高級感のあるクロス素材。柔らかく薄手で持ち歩きに適しています。
「一番大きなB5サイズは、よりカジュアルに使っていただけるもの。無地でぱたっと開くので、用紙を広々と使えます。雑記帳やお絵かきノートなど、自由にのびのびと使っていただきたいです」
A6糸かがり綴じノート(A6サイズ/無地128枚/2,500円+税)
表紙は上質で手触りのよいサテン布でくるみ、箔押しのロゴが入っています
「よりパーソナルな用途を想定したのがA6サイズのノート。手のひらサイズで持ち歩きやすく、日々の日記帳などにおすすめです。糸かがりという(一般的には辞書などに用いられる)丈夫な製本で作られていて、180度フラットに開く仕様も使いやすさを感じていただけるはずです」
一筆箋(73×165mm/20枚入/650円+税) と封筒(89×185mm/3枚入/450円+税) は、ホワイト・ピンク・グレーの3色。箔押しゴールドの窓は、表紙だけでなく便箋1枚ずつにあしらわれています
そして一筆箋と封筒も、好評のアイテム。ほどよく素材感のある用紙が、軽やかで繊細な印象を与えてくれます。
「こだわりは、便箋1枚ずつにゴールドの箔押しを入れているところ。大人の女性が手紙を書くときに、あまりにカジュアルなものでもいけないし、無骨過ぎても味気ないですよね。書くときも、誰かから貰ったときも、ほどよくフォーマルで、ちょっと気分が上がる。そんなイメージをして生まれました」
シンプルで主張しすぎないデザイン
こうしてグランジュテが形になるまでには、実は長い試行錯誤の期間があったといいます。
「具現化に向けて動き出してから完成まで、1年半くらい。何度も試作品を作りました。使用感を確かめたり、ちょっとしたサイズ感やリングの厚み、開き具合……重箱の隅をつつくように、何度も手で確かめながら。最終的に採用されたのは、もっともシンプルで、主張を抑えたデザインだったのも良い思い出です(笑)」
開発の過程で生まれた試作品の数々。黒ひとつとっても、さまざまな素材や色合いの組み合わせを検証しています。
「ひとつひとつの製品の細部にまで、言われないと気がつかないようなこだわりが、詰まっています。そうした小さな工夫が、スタンダードとして愛され続けるものを生み出すと思うんです」
長く愛される商品には、使い勝手のよさを支える、さりげない工夫が詰まっているもの。グランジュテが目指したのは、そんな、使い手に寄り添うデザインでした。
そうしたデザインを目指した背景には、「あくまで主役は使う方」という、福嶋さんの考えがあるといいます。インタビュー後半では、グランジュテのデザインが生まれたストーリーに触れ、その活用法についても伺います。
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