サステナブルな新ノートブランド「COCOCHY」の魅力(前編)
〜開発担当者に聞くブランドストーリー〜
2022年10月上旬、3年ぶりに開催されたマルマンフェアにて、マルマンは新しいリングノートブランド「COCOCHY(ココチィ)」を発表しました。「COCOCHY(ココチィ)」は使う人や環境へのやさしさに配慮した、使うことでサステナブルな活動が手軽に実践できるリングノートです。さらに、品質のよさと手に取りやすい価格帯を実現したことも、マルマン製品らしいポイントとなっています。「COCOCHY(ココチィ)」の魅力を深掘りするべく、開発に携わった設計チームの細井祥一朗さんとデザインチームの山村奈月さんに、製品についてお聞きました。
「COCOCHY(ココチィ)」の開発に携わった、設計チームの細井祥一朗さんとデザインチームの山村奈月さん。
「COCOCHY(ココチィ)」が環境にやさしい理由
「COCOCHY(ココチィ)」というブランド名は、親しみを感じますし、耳馴染みがとてもいいですね。
山村:「COCOCHY(ココチィ)」は、「心地いい」の響きを生かした造語なんです。コンセプトは「使う人にも、環境にもやさしい。心地いいリングノート」。環境へのやさしさと使い心地のよさにこだわったサステナブルなノートを目指し、開発を進めていきました。
山村さんは製品や販促物のデザインを行うチームの、取りまとめを担っています。
細井:コンセプトで表しているように、「COCOCHY(ココチィ)」は「環境」と「使う人」それぞれに配慮した要素が、製品特長となっています。まず、「環境にやさしい」ポイントは3つ。ひとつ目はプラスチックの代替素材「FSエリプラ+(プラス)」を表紙に採用したことです。
「FSエリプラ+(プラス)」は、近年問題視されている海洋プラスチックごみの削減に向けて、大王製紙株式会社さんが開発した高密度厚紙になります。再生可能な木質原料バージンパルプを100%使用、生分解性もあり、さらに耐水性、耐油性を付与させる塗工が施されているため、水や油にも強いんですね。それにより手汗や手油も防げますし、多少の水や土がかかっても、布などでふき取れば汚れが目立ちません。スイーツや揚げ物、スープなどの食品容器に使われている素材なので、強度は十分だと感じています。
表紙には水や油汚れに強い「FSエリプラ+(プラス)」を採用。多少の汚れなら、ふき取るとほとんど汚れが目立ちません。※完全防水ではありません。
表紙の汚れや使用感は気になる点でもあるので、綺麗なまま使い続けられるというのは嬉しいですね。
山村:ええ。ですから学生さんや社会人の方はもちろん、たとえばグリーンディスプレイ業といった、多少の汚れが付きやすい環境でお仕事をされている方々にもぴったりのノートだと思います。
細井:「環境にやさしい」ふたつ目のポイントは、FSC®️認証(ライセンス番号:FSC-C180385)を取得したマルマンオリジナル筆記用紙70g/㎡の使用です。FSC®️(Forest Stewardship Council®️:森林管理協議会)は「責任ある森林管理を世界に広めること」を目的に設立された国際的非営利団体で、FSC®️が定める厳しい規格のもと、適切に管理された木材とその製品を確実に消費者に届けることで、森林資源の保全を消費者が支える仕組みをつくっています。FSC®️認証は森林の管理を認証するFM(Forest Management)と、加工・流通過程の管理を認証するCoC(Chain of Custody)で成り立ち、FSC®️認証製品として消費者のもとへお届けするには、原則、生産・加工・流通に関わるすべての組織が認証を受けなければなりません。
細井さんはマルマン製品の設計や製造コストの計算、工場とのやりとりなどを行なっています。
マルマンでは2022年8月にFSC®️CoC認証を取得しました。FSC®️認証紙を仕入れ、宮崎県にあるマルマンの自社工場で加工、製造、出荷を行なっています。FSC®️認証を示すマークは「FSC®️100%ラベル」、「FSC®️ミックスラベル」、「FSC®️リサイクルラベル」があり、「COCOCHY(ココチィ)」は「FSC®️ミックスラベル」。これはFSC®️認証材、再生資源、およびその他の管理原材料からつくられていることを、表示するマークとなっています。
山村:ちなみに本文用紙であるマルマンオリジナル筆記用紙だけでなく、表紙の「FSエリプラ+(プラス)」もFSC®️認証紙なんですよ。
FSC®️の認証取得における審査では、製品完成までの工程でFSC®️認証紙が不適格なものと混ぜられていないかをチェックされます。※撮影に使用したノートは開発段階の製品になります。実際の製品では、白い余白部分にFSC®️ミックスラベルのマークが入ります。
FSC®️認証を示すマークは、「COCOCHY(ココチィ)」裏表紙についていますね。このマークのついた製品を選ぶことが、森の保全へとつながっていく。環境問題への取り組みは、日常生活での小さな積み重ねが大事なのだなと改めて気づかされます。3つ目のポイントは何ですか?
細井:ノートの裏表紙に「リング開き」のパーツが付いていることです。リングとノートの分別には手間がかかるため、これまでリングノートは分別せずにそのまま捨てられてしまうという課題がありました。しかしマルマンが独自に開発した「リング開き」のパーツを折りたたんで使えば、リングから表紙と本文用紙が簡単に取り外せるんですよ。
山村:「リング開き」は折るだけで組み立てられます。折り方の基本は4ステップ。1、使い終わったノートの裏表紙にあるパーツをミシン目に沿って取り外し、切り込み側を下にしてタテ半分に折る。2、両側を中央の線で折り上げる。3、両側の下方の線を折り下げる。4、両側の斜めの線を折り上げる。といった工程になっています。
裏表紙からパーツを切り離し、ノートに付属する説明書に沿って折りたたむと「リング開き」は完成します。※撮影で使用したノートは開発段階の製品になるため、実際の仕様とは若干異なります。
山村:「リング開き」が完成したら、リングの合わせ目が中央にくるようにノートの最終ページを開きます。次に「リング開き」をリングの上から3穴目まで挿し込み、「リング開き」をもつ手の向きを変えて手前に引くと、リングの合わせ目が広がるんですね。そうするとリングの隙間から数枚ずつ抜き取れるようになり、リングと表紙、ノートの本文用紙がバラバラになります。
リングに挿し込むときは、口の先端が開かないようにもってください。
細井:他社でプラスチック製のものは販売されていますが、わざわざ購入するとなると分別のハードルは上がってしまいますよね。ノートに付属していればお客さまの負担になりませんし、「きちんと分別をして廃棄できる」という心地よさにもつながりますから。
「リング開き」を使うと手軽にリングが外せるので、分別廃棄がしやすくなります。
紙へのこだわりが使う人にとって心地いいノートになる
「環境に配慮されたノート」というのは、ノートを選ぶ大きな理由になりますね。「COCOCHY(ココチィ)」の「使う人にやさしい」ポイントについてもお聞かせください。
山村:「使う人にやさしい」ポイントも3つあります。ひとつ目はグラフや年表など紙面を分割して使用する際にタテ線が引きやすいよう、本文用紙の中央に5mm間隔でメモリを入れたこと。ペンケースに入る定規はだいたい15cm前後です。それだと定規が本文用紙の下まで届かないため、メモリを目安に定規をずらせば、真っ直ぐな線が引きやすいんですね。また、罫幅は7mm、色は主張の少ないブルーグレーを採用しています。
紙面を分割しやすいよう、中央の罫線には5mm間隔でメモリがついています。
細井:ふたつ目は先ほどもお話した、マルマンオリジナル筆記用紙の書き心地のよさですね。「紙といえばマルマン」と言えるほど、マルマンは紙にこだわりをもっています。書きやすさ、描きやすさを追い求め、1958年より国産のオリジナル用紙「MARUMAN PAPER SERIES(MPS:マルマン・ペーパー・シリーズ)」を開発。品質はマルマンのペーパーマイスターが徹底管理しており、「紙の強度」、「張り」、「滑りやすさ」、「吸水性」、「発色」などを独自の方法でチェックしています。現在、オリジナル用紙は筆記用紙をはじめ、画用紙、水彩紙といった計13種類を揃えるまでになりました。
「COCOCHY(ココチィ)」で使用するマルマンオリジナル筆記用紙は、品質のよさが自慢。滑らかな書き心地を叶えます。
筆記用紙は「滑らかな書き心地」を追求してつくられた、筆記のための紙になります。平滑性が高いのでペン先の走りがよく、インクのにじみや裏面への抜けもほとんどありません。万年筆、ボールペン、マーカー、鉛筆など、さまざまな筆記具に対応し、ペンや色を多用したノートづくりにも適しています。筆記用紙だけでも4種類あり、「COCOCHY(ココチィ)」で採用したのは標準の厚さとなる70g/㎡。表紙の「FSエリプラ+(プラス)」もあらゆる筆記具が使用できるため、にじみなどの心配をせずタイトル等を書き込んでいただけます。
「FSエリプラ+(プラス)」のサンプルにさまざまな筆記具で試し書きをしたもの。どの筆記具でもにじみなどは見受けられません。
山村:3つ目は本文用紙に入れたミシン目になります。マルマンが独自開発したマイクロミシン目で、スムーズに切り離しができる仕様になっているんですね。
細井:本当にきれいに切り離せるんですよ。かといって勝手に切れてしまうことはありませんので、安心してお使いいただけます。
山村:残したいページだけを切り離したり、ファイリングもしやすくなるため、個人的な意見としてもミシン目があると便利なんです。
ノートの本文用紙には、美しく切り取れるマイクロミシン目加工が施されています。
ストレスフリーの筆記こそ、「使う人にやさしい」何よりの心地よさなのだなと感じます。また、「COCOCHY(ココチィ)」は表紙の色も素敵ですよね。パステル調のニュアンスカラーからも、やさしさが伝わってきます。
山村:展開するカラーはライトオレンジ、イエロー、ライトグリーン、ライトブルー、ライトパープル、グレーの6色になります。性別や年齢を問わず手にとっていただける、明るくやさしいカラーに仕上がりました。トレンドを反映した色合いですので、お使いいただくことで気分が上がる心地よさも、感じていただけるかなと思います。
「COCOCHY(ココチィ)」はトレンドを反映した全6色展開。明るくやさしいカラーが揃います。
マルマンが誇るコストパフォーマンスの高さ
「COCOCHY(ココチィ)」はまさに、「使う人にも、環境にもやさしい。心地いいリングノート」というコンセプトを体現した製品に仕上がっているのですね。素材、仕様、デザインまでこだわりながら、B5サイズとA5サイズともに価格は200円代。とてもリーズナブルな印象を受けます。
細井:「COCOCHY(ココチィ)」は非常にコストパフォーマンスのよい製品であると自負しています。「環境に配慮すること」、「高品質なノートであること」はマルマンとして譲れない点ですし、気軽にサステナブルな活動を実践、継続していただくためには「低価格であること」も重要だと考えました。マルマン製品は自社工場で製造を行なっているため、お客さまへコスト転嫁をすることなく、なんとか実現できた価格といえます。
山村:品質のよさ、環境への配慮、価格帯、「COCOCHY(ココチィ)」はすべてにおいて自信をもってお届けできる製品に仕上がっています。
「COCOCHY(ココチィ)」はB5サイズとA5サイズともに1冊40枚です。
細井:「COCOCHY(ココチィ)」はもちろんマルマン製品のすべてにおいて、価格と価値のバランスには自信があります。マルマン製品には「書く・描く楽しさを届けたい」という思いが反映されているんです。
山村:「環境問題に取り組む」とか、「サステナブルな行動をする」といった風に考えると、関心はあっても難しくとらえてしまう方も多いと思うんですね。しかし「COCOCHY(ココチィ)」のような環境に配慮したノートをお使いいただくだけで、その行動ひとつが環境保全へつながる第一歩となります。できることから少しずつ。無理せず、気負わず、「COCOCHY(ココチィ)」で書くことの心地よさを実感しながら、「環境にも配慮しているんだ」という心地よさを感じていただけたら嬉しいです。
「マルマンオリジナル用紙は、品質管理に加え、紙のアップデートにも日々取り組んでいます」と、細井さんと山村さんは口を揃えます。
使う人にも環境にもやさしい「COCOCHY(ココチィ)」には、心地よさを感じるたくさんの魅力がつまっています。後編では、細井さんと山村さんに、「COCOCHY(ココチィ)」の開発背景についてお伺いします。
ココチィ開発者インタビュー後編 ココチィが生まれるまで を読む >>
【COCOCHY(ココチィ)製品概要】
製品名:COCOCHY(ココチィ)
価格:A5サイズ242円(税込)、B5サイズ297円(税込)
カラー:全6色(ライトオレンジ、イエロー、ライトグリーン、ライトブルー、ライトパープル、グレー)
内容:本文40枚(リング開き付属)
販売店:全国の文具取り扱い店、マルマン公式オンラインショップ(楽天市場、Yahoo!ショッピング)
- COCOCHY